フィリピンでは先日、「不良債権移管法」が成立しこれにより各金融機関は中央銀行認定の金融業者に対し、不良債権の売却が可能となりました。これにより不良債権処理の促進と貸し出し増加を期待してのことだそうです。
新型コロナ対策の結果、多くの企業が影響を受け資金繰りが悪化、不良債権額は前年比で74.8%も増加しているそうです。ここでいう「中央銀行認定の金融業者」は正確には発表されていませんが、恐らく大手財閥系列のファンドや資産管理会社などということになるのでしょう。
不良債権処理が進むことは結構なのですが、融資で不動産を購入しているオーナーには悲劇としか言いようがありません。コロナ特別措置法のなかで不動産所有者(賃貸人)に対し、賃借人からの申し出があった場合に賃料の支払いを猶予することを求められています。半ば強制のようなものです。
賃料の回収は控えるように政府から始動され、一方で住宅ローンなどの債権は銀行が業者に対して売却が可能となる、不動産オーナーは一人泣き状態です。
日本の場合はまず賃借人に対し「家賃補助」、緊急事態宣言下では自粛支援金なども行い弱者保護の観点から政府が賃借人を保護し、それは結果的には賃貸人である不動産オーナーも間接的に保護していることになります。金額の過不足の議論が日本では行われますが、少なくとも補助はある、というところです。
フィリピン政府の場合は賃借人の保護はせずに賃貸人に賃借人の保護を求める、と同時に債権の回収と整理は促進する、どういう意図なのでしょうか?
不動産所有者はお金持ち、くらいの感覚なのか仮にそうだとしても憤りを感じます。
Part.63 18万人医療機関パンクのフィリピンと増加始まった日本
Part.62 加速するフィリピンと熱帯びる日本
Part.61 治療者13万人成す術なしフィリピンと宣言解除で増加日本