October 3, 2023

Hayato Shimoda

銀行口座保有率、驚異の51%に! フィリピンの銀行口座保有率が近年急上昇しているようです。世界銀行の調査報告書(2021年版「金融包摂データベース」報告書)は、フィリピン国民の銀行口座保有率が51%に達したと示し、またフィリピン中央銀行は、同保有率が68%だと公表しました。両者の調査方法や判断基準は明らかでないため厳密なことは言えません。しかし、2019年時点での同保有率がわずか28.6%(フィリピン中央銀行)であったことを考えると、口座の普及が飛躍的に進んでいることは間違いなく読み取れるでしょう。 今回の急上昇の要因としては、新型コロナウイルス感染症蔓延に伴うデジタル化、電子決済の普及が挙げられます。ただし、そのうち純粋な銀行口座を保有している人口、すなわち、通帳、ATMカード、預金などが揃っておりいつでも預金を引き出せる状態にある人口は、その中の一部に留まっているのが現状のようです。この点については弊社も以前動画で解説いたしました(動画リンク:https://youtu.be/d0UOeX4i1m0)。 その他の多くのフィリピン国民は、単に電子決済システムを保有しているのみです。これは高額な口座開設費用などとあいまって、フィリピンのバンキングシステムに多くの課題を残しています。 今後、経済成長やデジタル化の促進によって、これらの問題が徐々に解消されていくことが期待されます。

5月30日、マルコス新政権の主要閣僚メンバーが公表されました。 経験豊富なリーダーが多く、財界からは好感の声を示す声が上がっています。 財務大臣には、フィリピン中央銀行の現総裁ディオクノ氏が就任しますが、彼は新型コロナ危機に際し金融緩和措置を行ったほか、金融システムのデジタル化を行った実績があります。新政権では地方創生に注力することを宣言しています。 また、国家経済開発長官には、アキノ元大統領(2010-2016)の下でインフラ整備を加速させたアルセニオ・バリサカン氏が就任します。同氏はアキノ政権下でも同じ役職についていた他、経済学者として経済研究も行っており、実務・学問双方の知見を活かし、フィリピンのインフラの立役者となることが期待されています。 この他にも、閣僚ではありませんが、情報通信技術局の責任者にはIvan John E. Uy氏が任命されました。彼は、電気自動車大手テスラ・CEOのElon Musk氏のデジタル化プロジェクトStarlink Projectを後押しするとして、注目を集めています。 フィリピン商工会議所は「経験豊富で、有能な経済指導者たち」とコメントしたようです(JETRO, 2022/06/07)。 氏名 閣僚職名 前職…

フィリピン統計庁(PSA)は、昨年7月、2020年国勢調査の結果を公開しました。全体人口は1億903万人で、5年前の1億98万人を805万も上回りました。フィリピンと人口規模が同程度の日本では、同じ期間で人口が100万人減少しており、人口9700万人のベトナムでも、人口増加は5年間で平均500万程度にとどまります(なお、ベトナムでは国勢調査は10年に一度)。これらの数字はフィリピンの人口成長率がいかに大きいかを示しています。フィリピンのGDP成長率は2022年2月時点で5.6%まで回復しましたが(日経新聞、2022/02/04)、この人口ボーナスによってフィリピンの経済成長はさらに加速することを期待します。 国名 人口増加数(万人) フィリピン   +800 日本 -100 ベトナム +500 フィリピン、日本、ベトナムにおける5年間の人口増加数