October 1, 2023

災害続く1年 台風22号

災害続きの1年…今年のフィリピンを表現するにはこの言葉に尽きるのかもしれません。1月中旬には世界最小活火山と言われるタール火山が噴火し、多くの近隣住民が避難を強いられました。またタール火山周辺には日系企業を含む多くが工場をもっており、それらの稼働が火山灰などの影響で停止させられる事態にまで発展。

その火山の影響もようやく終息し始めたころ、中国武漢市を発端と思われるコロナウイルスの脅威が越境し、世界各国が騒がしくなり始めます。2月下旬には早々に中国からの入国を禁じる措置を行ったフィリピンでしたがその甲斐むなしく、国内での感染例が発症。ご存知のように3月中旬からロックダウンへと突入し、今も継続中。それによる経済への影響は計り知れません。

そして先日、襲来した台風22号はフィリピンの首都圏マニラを直撃。多くの洪水が発生し、ライフラインの切断も生じました。結果、多くの企業が営業を停止し証券取引所まで臨時の休場となる事態であります。

既にコロナウイルス感染対策により大きな経済的ダメージを受けているフィリピンですが、今回の台風22号による影響でさらなる経済的ダメージが広がる可能性が懸念されています。

以下、NNAより抜粋

首都圏などの経済まひ 台風22号横断、洪水被害広がる

強い勢力の台風22号は12日、フィリピン北部ルソン島の中部を横断し、マニラ首都圏と近隣州を中心に大きな被害が出て経済がまひした。首都圏では過去数年間で最悪の洪水が発生し、数万戸の住宅や幹線道路が浸水。証券取引所は休場となり、商業施設も相次ぎ営業を中止した。今月初めに深刻な被害をもたらした台風19号に続き、新型コロナウイルスで低迷する経済のさらなる下押し要因になる恐れがある。

12日未明から正午にかけてルソン島を横断した台風22号により、同日午後5時時点で約2万5,000人が被災し、約1万6,000人が避難した。少なくとも6人の死者、10人の行方不明者が出ており、政府は被害状況の把握を急いでいる。

台風による集中豪雨の影響で、タギッグ川やマリキナ川などの36カ所で洪水が発生。特にマリキナ川の洪水が深刻になっている。12日午前9時時点で約280万世帯が停電した。

公共交通機関では鉄道とバスが運行を停止した。首都圏にあるニノイ・アキノ国際空港(NAIA)は一時閉鎖していたが、午前中に再開。主要幹線道路のエドサ通りは一部で浸水がひどく、通行止めになった。

首都圏の経済はまひ状態となり、フィリピン証券取引所(PSE)は休場。マリキナ市など複数カ所の商業施設「アヤラモール」は終日閉鎖されたほか、通信大手のグローブ・テレコムやPLDTのサービス店舗は臨時休業した。停電や洪水の影響で、街中の飲食店も多くが店を開けられない状況に陥った。

ドゥテルテ大統領は、国民に向けた演説で「救助活動のほか、避難所の確保や救援物資の配送に向けて準備を進めている」と述べた。市民の安全確保を最優先にするよう関係省庁に指示した。

台風22号は12日午後に南シナ海に抜け、インドシナ半島に向けて進んでいる。豪雨は収まったものの、国内経済の5割以上を占める首都圏と近隣州で多大な被害が出たことから、経済への影響は大きくなりそうだ。

リサール商業銀行(RCBC)のチーフエコノミスト、マイケル・リカフォート氏は、500億ペソ(約1,085億円)の被害が出たとすれば、国内総生産(GDP)は0.25%下押しされると指摘する。

国家経済開発庁(NEDA)のチュア長官代理は先に、年末にかけて台風が直撃すれば10~12月期のGDPを押し下げる一因になるとの見方を示していた。新型コロナの影響でマイナス成長が3四半期続いた中、自然災害が景気減速に拍車をかけることが懸念される。