October 1, 2023

陽性率増加も政府は管理可能

コラムでも日々、日本とフィリピンのCOVIDの数値を追っていますが、この2週間でフィリピンの感染者数は着々と増加していて、それにより医療機関も逼迫状態に陥っています。

そして11日のDOH(保健省)の発表で半年ぶりに陽性率が11%になったことを発表しました。
しかし、これに対して政府は管理可能な水準と述べました。

この政府の発言には疑問が残ります。
管理可能とは言いますが、半年前のフィリピンと大きく異なるのは国内に変異体が存在することです。(イギリス型・南アフリカ型)
変異体は非常に感染力が高く、最近の研究では死亡率も従来の約2倍にも上ることが判明しています。

ですが、フィリピンは最近の感染者急増までの3ヶ月間特に減少することもなく、ワクチンも導入が遅れるなどの散々な結果となっています。
つまり、今までも移動制限措置をとっていたのにも関わらず、これと言った功績は残せずに今回の急増ということになります。
そんな状態で、増加の原因も判明しない中での「管理可能」の発言は、市民が協力すれば対応できるという短絡的な思考です。

実際、協力すれば確かに「可能」でしょう。
しかし、現実問題不可能であり、だからこそ悶着状態が続いていたともいえます。

政府は15日から2週間の夜間外出禁止対策等に加え、経済回復へと乗り出す姿勢は変わらない様です。

以下、NNA ASIA POWERより

コロナ陽性率11%に上昇 6カ月ぶり、変異ウイルス原因か

フィリピン保健省は11日、新型コロナウイルスの陽性率が11.0%に上昇したと明らかにした。約6カ月ぶりの高水準となり、足元の感染拡大に歯止めがかからない状況が続いている。変異ウイルスや人の移動が活発になったことが背景にあるとみられるが、原因ははっきりしない。政府は「管理可能な水準」として全国的な外出・移動制限措置の強化に消極的で、市民に感染対策の徹底を求めている。

PCR検査で陽性判定となった人の割合を示す陽性率は、足元で世界保健機関(WHO)が活動再開の目安にする5%未満を大幅に上回っている。11日の新規感染は3,749人が確認され、約5カ月半ぶりの多さだったほか、死者数も63人と過去2週間で最も多かった。

感染拡大はマニラ首都圏で深刻だ。フィリピン大学のシンクタンク、OCTAリサーチによると、新型コロナ感染者1人が平均で何人に感染させるかを示す「実効再生産数」は3月4~10日の平均で1.81となり、前月の同じ期間の1.02から急上昇した。感染拡大の分岐点となる1を大幅に上回っている。

新規感染者数も1日平均で1,411人と3.9倍に増加。陽性率は平均で4%から9%に上昇した。首都圏の自治体は複数のバランガイ(最小行政単位)で厳格な外出・移動制限を実施し、感染拡大の食い止めに注力している。

感染が広がっている要因は明らかになっていない。パサイ市では南アフリカ型変異株の感染者が複数確認された。ケソン市ではブラジル型変異株が見つかったとの情報もあるが、保健省は否定している。変異株についてはゲノム(全遺伝情報)解析が追い付いていない。外出・移動制限疲れで人の移動が活発になっている疑いもある。

政府は足元の感染拡大を認識しているが、医療体制や経済への影響を考慮して外出・移動制限の厳格化には否定的だ。ロケ大統領報道官は11日の会見で「まだ管理可能な水準だ。接触者追跡をさらに拡充する必要がある」と話した。内務・自治省によると、接触者追跡の職員は全国で25万6,000人に上り、対応能力は十分な水準にある。

ドゥテルテ大統領は11日、未来永劫(えいごう)厳しい感染対策を続けることはできないと発言。「働かなければ国民は生きていけない」と述べ、経済活動の再開促進を示唆した。