鉄道事業に7千億ペソ 回復の起爆剤に、ODAも活用
フィリピン運輸省は、北部ルソン地方と南部ミンダナオ地方の鉄道事業に2021~25年に計7,414億ペソ(約1兆6,550億円)の予算を投じる方針だ。新型コロナウイルス感染拡大で悪化した国内経済を回復するための起爆剤にする狙いで、日本をはじめとした政府開発援助(ODA)も活用する。マニラ首都圏などで発生している深刻な交通渋滞を緩和するためにも、事業を推進するよう促す声が出ている。
フィリピン政府は向こう4年で鉄道11事業に7,400億ペソ以上を投じる。
対象の鉄道案件は計11事業あり、ミンダナオ鉄道を除く全てが首都圏を中心にルソン島での案件となる。運輸省は、事業の多くを来年のドゥテルテ政権の任期中に完成させるか、一部開通させたいとの考えを示す。
巨額な事業費用には政府予算のほか、ODAも活用する。日本による融資額が最多で7,970億ペソに上るほか、アジア開発銀行(ADB)が4,450億ペソ、中国政府が3,070億ペソの資金を出す。
ドゥテルテ大統領の任期中に完成や一部開通が見込まれているのは、◇首都圏の軽量軌道交通(LRT)2号線の東部延伸◇都市高速鉄道(MRT)3号線の改修◇ケソン市の主要鉄道4路線の共通駅◇LRT1号線のカビテ延伸◇MRT7号線◇南北通勤鉄道の延伸事業の第1期◇マニラ地下鉄の主要設備◇ミンダナオ鉄道――などがある。
工事が最も進んでいるのが、LRT2号線の延伸事業だ。新設した2駅を含む開通は4月26日を予定していたものの、感染対策に伴う外出・移動制限措置が厳格化された影響で、6月23日に延期された。開通すれば、マニラ市からリサール州アンティポロまでの所要時間は3時間から40分に短縮される。
ミンダナオ鉄道の第1期(北ダバオ州タグム市―南ダバオ州ディゴス市、約100キロメートル)は、22年3月までに一部開通する。マニラ地下鉄は今年7~9月の着工を予定している。
ドゥテルテ大統領の任期1年目である16年時点の鉄道駅は61駅、路線距離は77キロだったが、22年の任期終了までに168駅、1,209キロに拡大する。20年末までに認可された鉄道事業の総投資額は約1兆7,000億ペソに上り、16年時点の5,285億ペソの3倍になった。
地元紙によると、バタン次官(鉄道担当)は首都圏では渋滞による経済損失が大きく、現政権が大規模インフラ整備計画に7兆7,400億ペソを割り当てた一因になったと指摘した。渋滞による年間の経済損失額は17年に1兆2,770億ペソに上ったが、複数の鉄道事業により損失を10%削減できると見込んでいる。
ユニオン・バンクの経済調査部門チーフエコノミスト、ルベン・アスンシオン氏は、感染対策に伴う移動制限で交通需要が減退したことを踏まえた上で「インフラ整備への投資は長期的に見て非常に価値がある」と述べ、大規模事業の推進を求めた。
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