October 1, 2023

郊外で開発進み住宅購入の流れ

この頃フィリピンではインフラ整備が進んでいることもあり、マニラ郊外での住宅販売が伸びているようです。

長きに渡るコロナとの戦いで変わったものは多く、その変化に合うように需要も変化を遂げているようで、各社が物件の開発に乗り出している形です。
国内企業だけではなく、日系企業もその流れに乗ろうと動き出しているそうです。

着々と進む首都郊外のインフラ整備。
首都圏からのアクセスの幅も広がるため良いこと尽くしですね。新たな経済の流れが生まれるのも楽しみです。

以下、NNA POWER ASIAより

首都圏郊外、住宅購入広がる コロナ禍で変化、日系は開発加速

フィリピンのマニラ首都圏郊外で住宅を購入する動きが広がっている。新型コロナウイルス禍が長期化し在宅勤務が定着したことや感染対策による意識の変化に加え、道路インフラの整備が進み中心部と郊外のアクセスが改善した事情が背景にある。郊外に多い一戸建て住宅やタウンハウス(連棟型住宅)の販売が伸びており、三菱商事などの日系企業は地場と組み、低価格住宅の開発を積極的に進めている。

感染対策の外出・移動制限措置は約1年5カ月にわたり、生活様式(ライフスタイル)は劇的に変化した。「密」を避ける上でも郊外での住宅購入が選択肢になっているようだ。不動産開発会社はこうした需要を取り込もうと新たな物件開発に乗り出している。

三菱商事とセンチュリー・プロパティーズ・グループ(CPG)の合弁会社、ファースト・パーク・ホームズ(PPHI)は、首都圏南方のカビテ州など計4カ所で、総戸数約7,000戸の新規住宅開発に着手する。PPHIの浅利澄人取締役は「新型コロナ禍で将来的な手堅い需要が見えてきた。今年は本格的な投資の再開を目指す」と話す。

年内にも販売を開始し、開発許可が下りれば造成工事を始める。一戸建てと連棟式住宅を建設する計画で、1戸当たりの最低価格は130万~250万ペソ(約285万~550万円)。中間層には手に入りやすい価格となる。

ファースト・パーク・ホームズは、カビテ州タンザの住宅販売を開始した2017年以降、7物件を販売した。住宅建設の大半は、建設大手メガワイド・コンストラクションのプレキャスト(工場で事前に成形したコンクリート部材)工法を採用している。

コロナ禍では当初、建設工事の一時中止を余儀なくされたほか、景気悪化で銀行の貸し渋りから住宅ローンが組めない購入者もいた。感染拡大の前は販売の過半数を占めていた海外出稼ぎ労働者の割合は4割以下に落ち込んだが、新型コロナ禍で帰国し、自宅用や投資目的で購入する元出稼ぎ労働者も一定数いるようだ。

フィリピンでは国民の約10人に1人が海外出稼ぎ労働者といわれる。国内よりも給料が高い国で働き、海外からの送金で家計を支えている。コロナ禍で失業し帰国した人は多いが、最近では再び海外に出るケースが増え、住宅購入資金を確保できる人が増えているようだ。

地場不動産開発大手ビスタ・ランド・アンド・ライフスケープスのマヌエル・ビリヤル会長は「海外送金の増加で業績回復を見込んでいる」と指摘する。

■「開放的な住居」に需要

日系では阪急阪神ホールディングス(HD)グループの阪急阪神不動産も需要開拓を目指している。住宅開発PAアルバレス・プロパティーズ・アンド・デベロップメント(PA)と組み、中間層向けの低価格の住宅分譲を展開する。これまでに首都圏近郊で5件の住宅開発を手掛けており、総戸数は約4,330戸に上る。

地場勢では、有力実業家ビリヤル氏が率いるビリヤル・グループが、ビスタ・ランドなど傘下企業を通じて複数の住宅開発を進めている。80万~400万ペソの低~中価格住宅では3ブランドを展開し、このうち「ブリア・ホームズ」は全国50カ所以上に拡大している。

フィリピン統計庁(PSA)によると、首都圏の周辺州が多く含まれる南部タガログA(カラバルソン)の人口は1,620万人と、首都圏の1,350万人を上回る。15~20年の人口増加率は2.5%と、首都圏の1.0%と比べると大きい。首都圏中心部よりも郊外で人口が増えている。

米系不動産サービス大手コリアーズ・インターナショナル・フィリピンは、新型コロナにより首都圏郊外の宅地開発の需要が高まったと指摘する。企業が在宅勤務を導入したことや、拠点を地方に移転・拡大する動きに加えて、長引く外出・移動制限で「住宅に広く開放的な空間」を求める人が増えている。

コリアーズのジョーイ・ボンドック調査マネジャーは、海外出稼ぎ労働者による送金額の堅調な伸びや、首都圏近郊とルソン南北を接続する複数の高速道路建設といった、インフラの改善も追い風になっていると説明。「郊外の低価格住宅に対する需要は、新型コロナ後も続くだろう」との見方を示した。