October 3, 2023

不動産土地保有規制|外国人は土地が保有できないってホント?

その国で不動産投資を行う場合に、ローカル(現地国民)と外国人では基本的に対等ではなくローカルより重い税金や投資規制が外国人に課せられることは一般的です。日本の場合は外国人でも土地保有を認めていますがこれはまれなケースなのではないでしょうか?少なくともフィリピンは違います。今回はそんなフィリピンでの不動産投資における土地保有についてどのような規制があるのか、そして日本との違いを解説していきたいと思います。

〜目次〜

1.フィリピン共和国憲法上の外資規制

フィリピン人以外の土地保有は禁止
【フィリピン人】の定義(※土地保有に関して)
フィリピン人=フィリピン国民、フィリピン法人(内国)

 まずこの話を進める前提条件としてここで申し上げるフィリピン人というのはフィリピン国籍の人、またはフィリピン内国法人(資本の60%以上がフィリピンン資本の内国法人)を指します。永住権を持つ外国人やフィリピン生まれでもフィリピン国籍を保有していないものは該当しません。

 日本には同じような規制がないので知らない方は驚くかもしれませんが、前述の通り憲法上フィリピンではフィリピン人以外の土地の保有が禁じられています。外国人が土地を保有する場合は内国法人を設立してその法人で所有する方法がありますが、これまた既にふれたように資本の60%以上がフィリピン資本、すなわち株式の60%以上をフィリピン人が保有することが条件になります。フィリピン内国法人は一般的な法人で外国人株主は最大40%まで(業態により100%フィリピン人である必要がある場合もある)という法人設立上の規制があり、そのため外国人が法人を設立して土地を保有する場合も、その法人の株主議決権(マジョリティ)が取れず事実上の支配下に置くことは不可能なのです。

 外国人が内国法人を設立する際に、過半数以上の議決権が取れないため身内のフィリピン人をあたかも大株主のように法人登記上の代理人を立てて設立することがあります。これをノミニ―と言い、例えばフィリピン人配偶者がいるケースなどで親族に大株主になってもらうが、実際の法人経営は外国人本人が行っているケースは多いようです。またはこのノミニ―をサービス化している法律事務所などもあり、弁護士の名義を法人登記に使ってもらい、代わりにサービスフィーを頂戴するサービスを提供しているケースもあります。このケースですと外国人は「間接的に」法人の実権を握り土地も保有することができている、と言えそうですね。ですがこのノミニ―との(個人的な)関係が崩れたとき、目も当てられない結果になった話もあるようです。酷い場合はノミニ―に法人ごと乗っ取られたりした話も聞きます。これはフィリピンだけではなく、その他の諸外国でも同様の話を聞きます。

 このようなケースも考えますとやはり外国人がフィリピンで土地を直接所有することはできないと考えるべきだと思います。そのため結論を申しますと外国人がフィリピンで不動産投資をする場合、必然的にコンドミニアムに限られます。

2.日本の区分マンションとコンドミニアムの最大の違い

 ただ、日本の不動産投資家で特に区分マンション投資を行っている方に注意していただきたいのが、日本の区分マンションの感覚でコンドミニアムを認識してしまうと矛盾が生まれるてしまうということです。

 日本の区分マンションでは、マンションの所有分に応じて土地が付帯するべき(間接的に土地を保有)と考えられています。この考えを元にすると、コンドミニアムを購入すると土地が付帯するということになりますよね?ですが前述の通り外国人は土地が保有できません。このままではコンドミニアムすら投資できないことになりかねません。

 実際にはフィリピンのコンドミニアムを購入するとその所有分に応じた土地が付帯するという概念はなく、あくまでコンドミニアムの1室はそれだけで登記簿が発行されます。登記簿はCertificate Condominium of Title(CCT)といい、これに関する記事も出していますので是非、ご参照ください。話を戻しますと、コンドミニアム投資は建物の一部を所有しているというだけになります。ではコンドミニアムのたつ土地の事実上の保有者は誰なのか?という疑問が残ります。これはケースはいろいろあり例えば開発を行ったデベロッパーの属する財閥が持っていたり、賃借権の上に開発を行っているケースもあるようですが一般的にはコンドミニアムのオーナーたちによって組成されるCondominium Association(Owner’s Association)が保有しているようです。

3.その他の規制

 外国人にとってフィリピンにおける唯一の不動産投資といえるコンドミニアムですが、無条件に誰でも買えるということではありません。1つのコンドミニアムにおいて、フィリピン人と外国人の所有比率が60:40でなければならないというものがあります。簡単に申しますと1棟で100室のコンドミニアムがあった場合に外国人に販売が許されるのは40室までとなります。これは法人の株主比率と密接に関連しています。フィリピン内国法人も60:40でしたよね?コンドミニアムを購入すると前述の「Owner’s Association」の一員になり、管理組合が組成されます。日本の分譲マンションも同様ですが、この管理組合は非営利の法人として法人登記されます。非営利だけど内国法人で法人の所有が60%以上はフィリピン人でなければならないという訳なのです。フィリピン人(フィリピン資本が60%以上の内国法人)は土地の保有が可能であると言う話は序盤で行いましたが、Owner’s Associationを組成後、土地を保有するためコンドミニアムの所有比率という規制が必要になった、と筆者は認識しています。

 ということで今回はフィリピンでの不動産投資の前に必ず知っておきたい、外国人投資家に対する規制とその背景に関して解説してみました。関係がないようで実は法人の株式比率とも密接に関連していることは、なかなか解説している記事も少ないのではないでしょうか?

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筆者:株式会社Assetters 代表取締役 江副元統(エゾエ モトツネ)

経歴
・広島大学医学部保健学科卒業、元理学療法士
・福岡市内の病院に勤務するも、漠然と業務にあたる日々に疑問を持ち2年半で退職
・「英語が喋られれば世の中何とかなる」という思いで2013年からカナダへ語学留学
・いろいろな国、人種の人々交流を深める。渡航半年でTOEIC800点取得
・不動産販売会社に就職、フィリピン担当となり2014年からフィリピン現地在住
・不動産の竣工引き渡し件数、約1000室
・2017年~現地の不動産管理会社へヘッドハント
・2019年12月、フィリピン不動産投資の正しい普及活動を目的に株式会社Assetters設立
・日本国内でフィリピン不動産の周知活動に注力するため8年ぶりに帰国、日本に在住始める

 

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